最近ブーン系小説を読んでみている

 ( ^ω^)ブーンは歩くようです - ブーン系小説グループを読了。なかなか読みごたえがあった。

 現代文明滅亡後の世界をひとりの男が旅する。その旅でさまざまな人々と出会い、別れる。はたして彼は、その旅の終わりに彼の人生の意味を見つけることができるのか、オチまで語るのは無粋なので、読んでみてのお楽しみ。

 やる夫が解説系なのに対して、ブーンが小説系らしい。最近その存在に気がついて、ぼちぼち読み始めてみている。未来世界へ飛ばされてしまう話(( ^ω^)ブーンたちは漂流したようです - v速+ブーン系小説まとめサイト - Seesaa Wiki(ウィキ))や、例のアノ事件を追う話(オ ム ラ イ ス@( ^ω^)ブーンがあの事件に挑むようです まとめ)も結構面白かった。特に、後者は半村良の嘘部シリーズを思い出して懐かしかった。好きだったんだよなぁあのシリーズ。

 ある意味定型化されたキャラがそれなりの役割を果たしているのが面白い。ブーン、ドクオ、ツン、しぃ、ギコ、AAでよく見かける彼らが、登場人物となって物語が紡がれていく。ときおり挟まれるお約束的なやり取りもにやりとさせられる。ぬるぽ、がっとか。

 それは、2chという文脈を知らなければ分からないお遊び。内輪受けだが、だからこそ面白いともいえる、生きた文化。こうした成果物を見ると、2chは匿名で無責任な言説にも満ち溢れているけれど、匿名だからこそ育まれるものもあると思う。

 なぜか知らないけれど、日本のネットでは目立ち続ける個性というものが余り好まれない傾向にある。2chにおいてコテハン固定ハンドル名)のような連続した存在は、ずいぶん図太い神経でなければ続けられない。一時的に記事番号を名乗ることはあっても、用が済めば匿名に戻ることが推奨される。叩かれる前に、出た杭は引っ込まないといけないのだ。

(そういう意味で、日本ではブロガーという目立ち続ける個性というのは、本来的に異質なものなのかもしれない)

 そうした「空気を読んだ」やり方で作品が提示され、作者はあっという間に匿名の海に戻る。残された作品だけが、面白ければまとめサイトなどに収容されて残り、面白くなければ消え去っていく。

 OSSやバザールとは違う形かもしれないが、そういう匿名での作品提供形態が日本的な共有地なのかも知れないと最近ちょっと思うようになった。